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外注絵かきについての考察 その2

次に自分自身が思う「外注絵かきとは何か」をかきまとめていきたいと思います。

もしかしたら過去の日記にも少し書いたかもしれませんが・・。
7年間「外注絵かき」をやってきて、

「こうあるべき」という理想と、
そうならない現実とその理由などをまとめてみたいと思います。

まず私が考える「外注絵かき」とは「タクシー」に例えることができると思っています。


絵かきというと自分の考えて絵を起こし、
売っているイメージがあるかもしれませんが多くの場合それは違います。

発注者から「こういう絵が欲しい」という「指示書」と呼ばれる
設計図のようなものを受け取り、それに沿って絵を描きます。

なのでさながら「〜〜へ行ってください」と指示されて車を走らせるタクシーのようなのです。



タクシーですと「あ、ちょっとコンビニ寄ってください」なんて言われることや
「あっちの道走って!」なんて言われることもあるかと思います。

絵かきも同じで「〜〜みたいな案も見てみたい」と言われたり
「もっと〜〜のような絵にしてください!」なんて細かく指示されることもよくあります。


ここで絵かきに発生する問題点は
この「寄り道」や「回り道」分のお金が支払われない事が非常に多いことです。

タクシーの場合お客さんの言う通り、寄り道したり、違う道を走れば
その分メーターがまわり高額になります。
それを払わなければ居直り強盗みたいなもので、犯罪になってしまいます。

僕ら絵かきも、要望に合わせてあれやこれやを試したり、時間使い描くのですが、
「1枚描くのがやっとの金額」しか支払われません。

タクシーで例えると、寄り道や、下手すると行き先を変更されたにもかかわらず、
最初言っていた目的地までの最短ルート分の料金しか支払わないと言われているに等しい状態です。

もちろん一枚の絵の値段が高額であれば
そういった無茶もある程度相殺できるかもしれませんが、
今は一枚のイラストに対し、おおまかな「相場」があり、
その相場が前述した「1枚描くのがやっとの金額」なのです。
それから外れた金額を要求することは、正直タブー視すらされてしまいます。

なのでこのお客さんの気まぐれな要望は、絵かきにとって死活問題になってしまいます。

ではなぜそんな案件ばかりが溢れているのに絵かきも案件も無くならないのかというと、
そういった悪条件でもやってしまう絵かきが多くいるからです。

絵かきで著名になりたい、本業は他にあるので趣味でやってる、
実家暮らしだからそこまで稼げなくても平気、など様々な理由です。

そのため発注側も市場競争の原理に則り、じゃあもうちょっと下げてもやってくれるヤツがいるだろうと
どんどん単価が下がっていってしまっています。

この10年で格段に絵の上手い子が増え、機材も安くなり
絵かき人口が増えたことは非常に良いことがとは思いますが、
仕事にしている人間の単価、という意味では非常に厳しい状態です。

まさしくタクシーの自由化で初乗り料金のせめぎ合いをしているのと同じような状態です。


敷居が下がることは良いことだとは思いますが、
絵かき人口の増加で単価の破綻は歯止めがかからず、やがて発注が海外に行ってしまうようになります。

そうなると国内の絵かきは歯が立ちません。
かつてのアニメ業界と同じく、ほとんど海外で絵を描くことになってしまいます。
結局生活できずアニメーターを辞めていった人たちは数多くいます。

いま絵かきは自分たちで自分たちの首を絞めている状態が続いています。

そしてそのことに多くの絵かきや発注業者が気付いていながら
矢面に立つのを拒み見て見ぬ振りを続けているのです。



**外注絵かきがあるべき姿**
タクシーの例に習って言えば、ある程度法律などによる単価の規制が必要かもしれませんが、
もっとも大事なのはきちんとNOを言えること。
NOを言える空気を作ることじゃないかと思います。

よく「じゃあ仕事を受けなきゃ良いじゃん」と言われますが、それは違います。
問題は前述したように「仕事を受けた後に条件が変えられる事」にあります。

ここだけ見ると「そんなの詐欺じゃん」と思うかもしれませんが、
実際にそういった事がまかり通ってしまっているのが実情です。
なのでここできちんとNOを言える必要があります。

ですが、NOを言ったり、そういった事がないように、事前の取り決めをしようものなら
面倒だからと言わんばかりに依頼そのものが来なくなります。兵糧攻めですね。


そもそも発注者と受注者に優劣はないはずなんですが、
本気で「カネを出すヤツが一番偉い」と思い込んでしまっている人がいます。

発注者はお金を払って仕事をしていただく側
受注者はお金を貰って仕事をいただく側

双方にこの意識と謙虚さがなければ労働は成立しなくなってしまいます。


絵かきは潜在的にどこか「趣味みたいなものだから」という
仕事そのものに対して劣等感や罪悪感があり、
正当な要求をする事に後ろめたさを感じてしまっている人が多くいます。

まずはその意識を変えていかねばなりません。

よく「その仕事を選んだのは自分なんだから文句言うな」とか
「いやなら辞めれば良い」という意見を言われる方もいますが、
そもそもこの国は職業選択の自由があります。

どの職業も特殊な場合を除き、みな自分で選んでその職についてるはずなのです。


その上で、最低限健全に仕事をしていくためには、
最低限のルールとモラルが守られる必要があり、それを主張要求するのは当然の権利と言えます。

絵かきを志している、絵かきをしている人は
へんな劣等感や優等生を気取って的にならないようにしよう、という
考えを止めるべきなのです。